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オベリスク=クシロスク戦争

オベリスク=クシロスク戦争
咲夜たちがモッコリランドに迷い込む数年前の東部で勃発した戦争についてのお話です。

■背景
オベリスク共和党は合衆国建国後の初の選挙で公約として火のクリスタルを利用した合衆国全土へのロードヒーティングの配備と小選挙区制の実現を謳っていたが、選挙で大勝し都市住民の支持が厚いとわかるやロードヒーティングの整備をオベリスク市内のみに留め、地方住民に不利な大選挙区制を推進し始めた。
この事により、合衆国の諸州では中央に対する不満と批判が噴出していた。

■オーラポロ州独立
オベリスク合衆国南東部に位置するオーラポロ州は地理的にオベリスクとクシロスクへの中間地点に存在したため合衆国への帰属意識は希薄であった。
オーラポロ州の青年らによりオベリスク合衆国への残留または離脱を決議する住民投票が行われた結果、離脱派の票が残留派を大きく上回り、オーラポロ州知事はオベリスク合衆国に対して独立を通告する。
これは合衆国憲法で定められた権利に基づいた住民投票であったが、合衆国議会はこの独立宣言を否認し、オーラポロ州を合衆国に留めるため同州への出兵・占領を決定した。
オーラポロ州はクシロスクとの国境付近でまたオベリスク南部に深く食い込むように位置していたため、内陸部とエルムン岬の通行路がクシロスク軍の脅威に晒されるという危険性も合衆国議会の強硬的な態度を後押しした。

■クシロスク軍の干渉
一方、都市国家クシロスクではオーラポロに干渉する事はオベリスク合衆国との全面戦争を招きかねないと判断し、静観する構えを取ろうとしていたが、突如として『オーラポロ住民を保護する』と発表しオーラポロ州へと軍を進駐させた。
クシロスク側は軍も政府も自分たちにはオベリスク合衆国と全面戦争を起こして勝利できる実力がない事はわかっていたが、外交でアリモッコリ王国を参戦させてオベリスク合衆国を背後から叩かせる目論見であった。
これはかつてトヤ湖で開催されたトヤ湖サミットにおいて、オベリスク合衆国への武力制裁にアリモッコリ王国が意欲的であったためであった。

クシロスク軍は戦力の質的な不利を補うために全モッコリランドの傭兵に向けて参戦の呼びかけを行い、これに加えてクシロスク軍は都市国家ニモーロに莫大な経済援助をする見返りとしてニモーロ軍より精鋭部隊の貸与を受けた。(名目上は、ニモーロで解雇された軍人をクシロスクで傭兵として再雇用した)
一方で、職業軍人だけで対クシロスクの戦争は事足りると考えていたオベリスク合衆国は次々とクシロスクめがけて傭兵が結集しているという事実に驚き、クシロスク政府にまだ手を付けられていない傭兵を探したが、雇い入れることができたのはロータス=フェアジナントなど少数の傭兵のみであった。

■戦闘
オベリスク軍にはクシロスク軍には存在しない魔導アーマーなどの先進的な魔導兵器が配備されていたが、運用方法が確立しておらず、少数精鋭の傭兵集団によっていいように翻弄され、開戦間もない頃は有効な反撃ができず後退を繰り返していた。
また、オベリスク軍は背後からアリモッコリ王国が奇襲を仕掛けてくる可能性を警戒していたため数個師団をヒダカー山脈周辺に移動させた事により、東部戦線への物資や人員の補給がおろそかになりつつあった。
魔導アーマーの集団的な反撃が始まるとクシロスク軍の主力に損害が目立つようになり、一時期はオベリスク市まで迫るのでは、と噂されたクシロスク軍は勢いを失い後退し始める。

■クシロスクの外交の失敗
クシロスクは外務省を通じてアリモッコリ王国に参戦を打診するも、この戦争はクシロスクがどさくさに紛れてなんの調整もなく始めた戦争であり、なおかつクシロスク政府は「われわれが戦争に勝利した場合、戦利品としてオベリスク合衆国の持つ火のクリスタルの管理権を奪うことを了承せよ」と要求した事がアリモッコリ5世の逆鱗に触れ、参戦を却下された。
クシロスク軍はオーラポロでの戦闘が膠着するとエショロ・ペツ州(オベリスク合衆国北東部)より侵攻して新たな戦局を拓くが、開戦の大義であったオーラポロと無関係なエショロ・ペツを攻撃した事により国際世論はますますクシロスク非難へと向かった。

■対クシロスク包囲網
都市国家アヴァシリッツは名目上はこの戦争に対して中立を維持すると表明したものの、オベリスクと不可侵条約を結んでいた事、加えてオベリスク政府からの強い要請によりアヴァシリッツ領ノッ•オロ岬でクシロスク船籍の船舶に対する拿捕・臨検を行った。オベリスク海軍によるエルムン岬の封鎖と合わせて、クシロスクの貿易船はせいぜい自国とニモーロを行ったり来たりする程度の航行しかできなくなってしまった。
この封鎖はもともと陸上貿易において恵まれない立地であったクシロスクの経済に致命的な打撃を与えた。

■オベリスク軍の反攻
アリモッコリ王国に参戦の意図なし、と判断したオベリスク軍はヒダカー山脈方面から師団を東部戦線へ移動し、領土内に侵入したクシロスク軍の包囲・殲滅に乗り出す事になる。
ところが、クシロスク軍が領土内に撤退し始めると、魔導アーマーが泥濘地に対応していなかったこと、またオベリスク軍には充分な防毒装備もなかったため有毒ガスの噴き出るクシロスク湿原を強行突破して追撃することも不可能であった。

■戦争の終結
オーラポロ州を奪回し元の国境付近に迫ったオベリスク軍は積極的な攻勢に出ることもなく、国境の向こうにいるクシロスク軍に拡声器で罵声を浴びせて挑発するだけの日が続き、もはや矢弾の一つも交されないような日さえあった。
オベリスク政府はクシロスクへ止めを刺そうとする事はアリモッコリ王国の背後からの攻撃を招くと判断していたため、早期に戦争終結へと向けて動き出していた。
ところが、オベリスク国民が講和を結ぼうとする政府を弱腰と非難したことが障害となり、双方ともこの戦争における具体的な軍事作戦は終了したが、講和条約の締結も行われずクシロスク湿原を挟んで睨み合いが続く状態となった。

■戦後処理と戦争の影響
アリモッコリ王国の仲裁によりオベリスク海軍・アヴァシリッツ海軍による包囲は解除され、海上貿易は戦争以前のものに戻った。
オベリスク=クシロスク戦争以前は「オベリスク合衆国は東部の問題児である」との見方が西部では強かったが、この戦争を経て一部では「オベリスク合衆国は東部の優等生である」との見方が強まり、対オベリスクの強硬な外交を見直すべきではとの議論がアリモッコリ王国で活発になった。
また、「腐敗した一党独裁体制である」はずのオベリスク合衆国が「民主的な」はずのクシロスクを打ち負かした事により、民主主義が目覚めて間もないモッコリランドにおいて議会政治への不信感を募らせる原因となった。

※補足
オベリスク合衆国は四元素のクリスタルのうち、火のクリスタルの管理権を持つが、エネルギーの人為的な抽出行為により国際的な批判を受けていた。
この戦争の数年前に開催されたトヤ湖サミットで対オベリスク武力制裁の是非を問う投票が行われたが、アヴァシリッツの反対票により投票は流会した。

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